2002年6月20日号(6月1日〜6月19日)
生分解性樹脂、パソコン採用、富士通が拡大
富士通は五日、ノート型パソコンへの生分解性プラスチックの採用を拡大すると発表した。〇・二グラムの部品一点を同プラスチックに切り替えた一機種を四月に発売済みで、二〇〇四年度に本体重量の一割に相当する二百グラム程度を同プラスチックに切り替える。生分解性プラスチックは地中に埋めても微生物が水と炭酸ガスに分解するため、環境負荷が小さい。組成を調整して本体部分に使えるようにした。 【共同通信, 日本経済新聞】
ノンフロン冷蔵庫、シャープ・日立が投入
シャープと日立製作所グループがノンフロン仕様の冷蔵庫を相次ぎ投入する。冷却用冷媒に代替フロンを使わず、地球温暖化に与える影響が小さい。環境意識の高まりに対応して販促をかける。
シャープは七月十五日に「どっちもドア SJ―NF35G」=写真=を発売。日立ホーム&ライフソリューション(日立H&L、東京・港、瀬端久仁雄社長)は五月末に「ソルフェージュ R―S31HRV」を売り出した。
両製品とも自然冷媒のイソブタンを採用し、断熱材用発泡剤にシクロペンタンを使った。地球温暖化に与える影響は代替フロンの四百分の一という。
「SJ―NF35G」は三百四十五リットルで、希望小売価格は十五万円。「R―S31HRV」は三百五リットルで同十六万五千円。シャープは三洋電機と、日立グループは松下グループと白物家電での環境対応技術で業務提携しており、両社ともそれぞれの技術協力に基づいて開発した。【毎日新聞,日経流通新聞】
農家保管のPOPs農薬全国で60t――環境省が最終報告
環境省はこのほど、昨年度実施した農家保管の農薬調査の最終報告をまとめ、最大で全国農家の2%の農家にPOPs(残留性有機汚染物質)農薬が眠っている可能性があることを示唆しました。これは、約6万軒の農家(農林水産省2000年度農業センサス総農家戸数ベース)に該当する割合で、1戸当たり平均のPOPs農薬保有量が約1kgであったことから、全国農家に60tにも上るPOPs農薬が潜在的に眠っている可能性が出てきました。 【環境新聞社】
プルサーマル、完全凍結も=福島県知事が示唆
福島第一原発・柏崎刈羽原発、地元慎重、国やきもき
原子力発電所でプルトニウムを燃やすプルサーマル計画が手詰まり状態に陥っている。国や電力業界は年内に始めたい意向だが、実施を予定している東京電力柏崎刈羽原発の地元、新潟県刈羽村の昨年五月の住民投票で「ノー」を突きつけられた後、これといった打開策を示せず、地元判断に任せるしかない状況。年内実施の判断期限は一カ月後に迫っている。
「知事にプルサーマルの意義を十分理解してもらっていないのではないか」。四日開かれた国の原子力委員会でこんな発言が相次いだ。
福島県の佐藤栄佐久知事が前日、地元で「(プルサーマル計画そのものの)凍結も含めて検討する必要がある」と、初めて計画凍結に言及。慌てた原子力委は急きょこの問題を取り上げたが、具体的な対応策となると、議場は重苦しい雰囲気に包まれた。
プルサーマル実施予定の東電・福島第一原発3号機(福島県大熊町・双葉町)と柏崎刈羽原発3号機はそれぞれ七、八月に定期検査に入る。プルトニウムを混ぜた燃料を炉に収められるのは運転休止中だけ。年内実施に踏み切るなら、検査前の来月上旬がぎりぎりの判断期限だ。
佐藤知事はこれまでも再三、「(プルサーマルをめぐる議論を)国民にオープンにせず、ブラックボックスの中で進めるのは問題」と不信感を表明。昨年二月、東電が前触れもなく福島県内の火力発電所の建設凍結を発表後、東電と県の関係はこじれたままだ。
新潟県の平山征夫知事も慎重姿勢を崩さない。五月中旬の会見で「昨年の住民投票と比べ、住民の意向が変わったという証拠や意見は聞いていない」と投票結果の重みを改めて強調した。
だが、地元が反対一色というわけでもない。福島第一原発がある双葉町の岩本忠夫町長は「原発なしでどうやって地域の暮らしを成り立たせるのか」と訴える。同原発では7・8号機増設計画も知事同意が得られず宙に浮いたまま。「地域(経済)は極めて厳しい。プルサーマルや原発増設は起死回生につながる」と期待も強い。
刈羽村でも東電が一億円を投じて交流施設に着工したことなどが奏功、村内のムードが変わってきたという見方もある。平山知事は「住民の意向を把握し、意見を言う立場にあるのは村長」と、地元の意向を尊重する姿勢を示唆している。
刈羽村の住民投票後、電力業界や経済産業省の幹部は立地自治体をこまめに行脚、プルサーマルの重要性を訴えてきた。「プルサーマルが進まないと核兵器の材料になるプルトニウムが余り、海外から批判を浴びる」という従来の論理に加え、昨年九月の同時多発テロ後は「核テロリズムの抑止にも重要」と国際的な視点も前面に掲げた。
ただ、国策上の重要性を声高に訴えても地元住民の心には響かない。原子力振興で落ちるカネは地元に亀裂を生み、地域振興の効果をめぐっても議論が分かれる。
手詰まり状態をどう打開するのか。専門家からは「政府がプルサーマル用燃料を電力会社からいったん買い取り、国の責務として管理・削減を進める案も検討すべきだ」(電力中央研究所の鈴木達治郎上席研究員)といった指摘も出ている。
▼プルサーマル 原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜて通常の原発で燃やすこと。国と電力業界は二〇一〇年までに十六―十八基の原発での実施を表明している。プルサーマル推進を前提に、青森県六ケ所村に再処理工場を建設中で、〇五年夏の完成後には再処理したプルトニウムが発生する。
【表】プルサーマル計画をめぐる経緯
1997年2月 ○政府、プルサーマル計画推進を閣議了解
○政府が新潟、福井、福島の3県に協力を要請
99年2月 ○東京電力が新潟県、柏崎市、刈羽村に計画の事前了解願を提出
9月 ○関西電力高浜原発のプルサーマル燃料で検査データねつ造が発覚
2001年2月 ○佐藤栄佐久福島県知事が計画受け入れを当面拒否と表明
5月 ○新潟県刈羽村の住民投票で反対票が過半数を占める 【時事通信,日本経済新聞】
2040年「水素社会」到来か
アイスランドの挑戦
火山と氷河の国アイスランドで、エネルギー転換の世界初の実験が始まっている。
極北の海に浮かぶ島国で人口28万人。北米プレートとユーラシアプレートの裂け目の上にあり、約30の火山が点在し、地熱が高温蒸気の形で噴き出している。氷河から落ちる豊富な水もある。
「数十年かけて世界初の水素エネルギー社会をつくる。豊富な自然エネルギーがあればこそ可能な計画だ」と、アイスランド新エネルギー社のスクラソン社長は話す。
同社は99年、この計画のために設立された。政府も出資するエコエネルギー社のほか、シェル、ダイムラークライスラーなども参加する。
水素が酸化して水になるときに電気と熱が生じる。この反応を利用するのが燃料電池。来年初め、水素ガスタンクと燃料電池を積んだバス3台を首都レイキャビクで運行させる。台数を次第に増やし、06年までに燃料電池搭載の乗用車と漁船も導入。水素を製造し、その場で供給するスタンドの設置を進め、40〜50年にはすべての車と漁船の燃料を水素にする。
これによって、アイスランドの二酸化炭素排出量は今より70〜80%減る見通しだ。政府がこの計画に踏み切ったきっかけは、温室効果ガス削減の目標値を決めた京都議定書。すでにエネルギーの六十数%を自然エネルギーでまかなう同国には、社会を変えるしか削減の方法はない。
計画を支える自然エネルギーは水力と地熱。この二つで今も発電の99%を賄う。それでも潜在エネルギーの6分の1しか利用していない。水を電気分解して水素をつくるときの電気はこれで十分だ。小さな社会なので水素の製造・利用の基盤整備はしやすい。
スクラソン社長は「世界は確実に水素社会に向かう。問題はその速さだ。技術とコストの両面でさまざまな壁があるが、数年内に燃料電池の技術革新が起き、後押しするだろう」という。
目標は国内の水素化にとどまらない。
「運搬技術が進めば、我が国は水素の輸出国になる」と産業省幹部のビヤルナソンさん。
○日本でも実用化へ加速、20年に原発10基分目標
東京ガスは、さいたま市と横浜市の住宅で、数社と共同開発の燃料電池の使い勝手を調べている。大きさはエアコンの室外機くらい。燃料となる水素は都市ガス(天然ガス)から取り出す。電気と熱湯の両方を供給する方式で、不足分は電力会社の電気を使う。
荏原バラード社は、今年度中にも家庭用燃料電池の実用モデルを発表する。同社は「今の給湯器は約35万円。少し高い程度なら売れる」とみる。
燃料電池が現実味を帯びてきたのは、固体高分子形燃料電池が登場したからだ。イオン交換膜に薄型の固体高分子を使い、ここ数年で一気に小型化が進んだ。トヨタ、ホンダなどは燃料電池車の03年度発売をめざす。
政府は昨年、水素利用を21世紀のキーテクノロジーと位置づけた。20年に、燃料電池車約500万台の導入と、原発10基分にあたる約1千万キロワットの発電が目標だ。
○貯蔵法の開発がカギに
水素時代に向かうには、水素を安全に貯蔵・運搬する方法を開発しなければならない。
北海道大の市川勝教授らのグループは、有機化合物に水素を「貯蔵」する方法を考えている。
触媒を使って天然ガスからベンゼンやナフタレンなどの有機化合物と水素をつくる。ベンゼンなどを高温で化学反応させると、水素を取り込んだ別の有機化合物になる。逆の反応をさせると水素が外に出る。
いずれも液体なので、水素の輸送、貯蔵容器からの出し入れがしやすい。市川教授は「コスト面も含め、工業化できるかどうかを試している段階だ」と話す。
水素の貯蔵法はこのほか、高圧タンクに圧縮して入れる、液体にして低温タンクに入れる、水素吸蔵合金に閉じ込めるなどが考えられる。現在、実用段階に最も近いのは高圧タンクと吸蔵合金だが、ほかの方法も含め一長一短がある。
水素5キロで500キロ走行可能な燃料電池車を考えた場合、280気圧の高圧タンクでも200リットルの容積が必要。700気圧のタンクもあるが安全性に問題が残る。液体水素は常圧でマイナス200度以下に冷やす必要があり、扱いにくい。
吸蔵合金は水素の安定性が高く、出し入れも比較的簡単だが、重さが数百キロにもなる。有機化合物は重量あたり多くの水素が入るが、安全性を研究する必要がある。
一方、燃料電池は、天然ガスなどを入れて装置内で水素をつくるのか、水素を直接入れるのかで仕組みが変わる。自動車メーカーは両にらみ状態だ。
国際水素エネルギー学会設立時の呼びかけ人でもある元横浜国立大学長の太田時男さんは「化石燃料はいつか枯渇する。燃料電池への取り組みはまだまだ不十分。国を挙げて研究開発に力を注ぐべきだ」と話す。【朝日新聞】
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